本来の自己へ還る-1. 忘却/本来の自分を忘れている状態
1. 忘却/本来の自分を忘れている状態
本来の自分を忘れている状態とは、単に、自分の気持ちが分からないということではない。
もっと根本にあるのは、自分の思考や感情、反応、役割、過去の記憶、他人からの評価を、ほとんど疑わずに「これが私だ」と思い込んでいる状態だ。
誰かに冷たくされたように感じた瞬間に、傷つく。
返事が遅いだけで、不安になる。
認められないと、自分の価値まで揺らぐ。
失敗しそうになると、挑戦する前から身を引く。
何かを選ぶときにも、本当に望んでいるかどうかより、損をしないか、間違えないか、人にどう思われるかが先に立つ。
そうした反応は、自分で選んでいるように見える。
けれど実際には、過去の経験、恐れ、傷、防衛反応、社会の基準、誰かに言われた言葉によって作られたパターンが、自動的に動いているだけのことがある。
そして、その自動反応を「私」だと思っている。
思考が出れば、それを自分の考えだと思う。
感情が湧けば、それを自分の真実だと思う。
恐れが動けば、それを直感だと思う。
防衛反応が出れば、それを正しい判断だと思う。
ここに、忘却がある。
本来の自分を忘れているとは、魂や本質がどこかへ消えてしまったという意味ではない。
内側のもっと静かな場所にある本来の知覚よりも、思考や感情、過去からの反応を、自分そのものだと信じ込んでいる状態のことだ。
だから、この段階で起きているのは、「本心が分からない」ということではない。
本当の自分ではないものを、自分だと思って生きている。
そこに気付いていないことこそが、本来の自分を忘れている状態なのだ。







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